モバマスと音楽あれこれ

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新曲投稿:Crossing Starsについてのよもやま話

先日ボカロオリジナルの新曲をニコニコ動画に投稿しました。
今回はその曲についてのお話です。音楽を文字で語ってしまう事を何卒お許し頂きたい。


概要

Crossing Starsは四つ打ちトランスが基調のアニソンライクな楽曲です。ほんのりシンフォニックな感じで、エモーショナルな展開感を目指しました。

テーマとしては、一人じゃ出来ない事も二人なら三人なら、皆となら可能性は何倍にも広がる、といった感じです。

ハイゲインのエレキギターにSUPERSAWの組み合わせは、オタク音楽には欠かせないですね。

コード進行

コード進行で特筆すべきはBメロかなと思います。

曲のキーはGでイントロ→Aメロで3度下のEに転調しています。したがって、BメロもEのまま突入…と思いきや

key:D Bメロ:Ⅰ→Ⅴ/Ⅶ→♭Ⅶdim→Ⅳ/Ⅵ→♭Ⅵdim→Ⅵm7

EからDに全音で転調してから半音下降してⅥm7に着地するエモい進行です。

実はこれ、ちょっとした錯覚というか、なんなら作者も制作当時は少し勘違いしていて、最初は所謂サブドミナントマイナーの♭Ⅶからの半音下降のつもりだったのですが、スケール的にはどう考えてもDmajなんですね。

しかしながら、一小節目だけはDmajスケールの4度が♯していて、リディアンになっています。実はこれ、keyE的にはミクソリディアンの配列なんですよね。ここでのミクソリディアンは、KeyEのサブドミナントマイナー♭Ⅶに対応する形での変化です。

つまり、KeyDに転調したにも関わらず、一小節目のメロだけはKeyEを引きずっている感じです。なので一小節目のDコード上でKeyEからDへとグラデーション的に転調しているのです(超解釈)

何故そんな事をしたのかというと、その方がエモかったからです。ピアノで弾きながら普段メロと進行を平行して作るのですが、#4した方が切なく半音下降の心情にマッチしていました。

多分理屈的にはギリギリなのかなとは思いますが、違和感は無いので良しとしましょう。

Bメロ後半:Ⅱ→Ⅴsus4→Ⅴ→[keyD→E]→Ⅴsus4→Ⅴ

後半は所謂ドッペルドミナントのⅡ→Ⅴのツーファイブで、さらにsus4を経由して全音上のKeyEに転調しています。これはよく見かけると思います、キメとセットだと展開感が出て良いですね。

さらにこの後Ⅴを基軸にして、この後サビでKeyGに転調します。三度の転調は自然な転調感があって好きです。

アレンジについて

  • イントロとアウトロのキラキラ音

この音色は、JV-2080に入ってるPulse keysとサンプルタンク3に入っている自作の安っぽいカチカチしたピアノを重ねて作っています。

実は、今まで制作した楽曲のイントロ等のメロディはほぼエレキギターで(楽なので)、なんとか引き出しを増やしたい、でも既存の音色をそのまま使うのはイヤ…という試行錯誤の末に生まれました。

エレキギターのオクターブまたは3度重ねだと、安定してクオリティ感は出るのですが、なんせガッツがあり過ぎてしまうんですね。それが少し悩みだったので、今回は上手くいってよかったです。

  • セクションの繋ぎ

オタクソングにおいてもっとも重要で、頭を捻るのがセクションの繋ぎ(Aメロ→Bメロ等)だと思っています。

楽曲制作をしないと中々気付きにくいかもしれませんが、商業アニソンを聴くと大概はセクションの繋ぎをエフェクティブなサウンドで埋めています。

例を出しましょう。


1曲目、FAKE SELF×TRUE SELFの0:13~0:14辺りを聴くと、上昇音、シンセの上昇ラインのメロディ、それまでとは違う音質のドラムがズンズンターツカズカズンターツカ(あやふや)と鳴っているのが分かると思います。

そして「とどきたーい」と歌が入ると同時にバゴーン!!という爆発したようなFXが鳴っています。

これらの効果音的音色は、歌が始まるぞ!という高揚感をもたらし、音楽的含蓄の有無に関わらずリスナーを盛り上げてくれます。

これらのサウンドは四つ打ちから生楽器主体の楽曲まで、大なり小なりほぼどの曲でも入っています。色々気にして聴いてみると新たな発見があるかもしれません。


・・・閑話休題

筆者も無い頭を捻って毎回色々なセクションの繋ぎを作っています。

今回のCrossing Starsでは、ポルタメント気味のSAWリードで上昇フレーズを組んで、その後オケヒ+爆発音(KickFX)を組み合わせたり、リバースシンバル→爆発音、みたいなパターンを使用しています。

セクションの繋ぎというのは作家の腕の見せ所です。もっと色々引き出しを増やしていきたいところであります。

  • ギターソロ

ギターソロは筆者の楽曲にはなくてはならない存在です。かつて高校時代に作曲の為にと始めたギターですが、いまやすっかりギターオタクと化してしまいました。

今回も例によってガッツのあるギターソロを8小節入れています。
前半はペンタ主体の上昇フレーズ、後半はスケール的な早弾き→スウィープで〆としました。



ポップミュージックにおけるギターソロに関しては譲れない拘りがあります。
それは、作家のオナニーではいけない、という事です。

ポップス(オタクソング含む)における間奏の役割とは、2サビ→大サビないしCメロへの橋渡しをする事にある、と個人的には考えています。

2サビの熱量を保ったまま更に増幅させ、エモーショナルな状態でリスナーをその後のセクションに導くのがポップスにおける良い間奏である、と断言しても良いぐらいです。

というのも、リスナーの大多数は音楽をプレイしない人たちで、彼らにとってはギターソロの巧拙や理論的テクニカルさなんてのはどうでもいい訳です。歌が聴きたいわけですからね。

しかし、作家もそこは人間。やはりやりたい事をやりたいのです。なので、いかに限られた時間の中に自分のエゴをぶち込み、それをリスナーの為、という大義名分のオブラートで包むか、そこが醍醐味なのではないでしょうか。

今回のまとめ

こうやって自分の曲や作曲について文章で長々と語るというのは初めてです。意外と筆がスラスラと進みましたが、ずっと語りたかったのかもしれません。

普段メインで使っているSNSツイッターではこういった話は一切しないようにしています。しかしながら、ブログというコッソリ語れる場を手に入れてしまったのは、果たして本当に良かったのかしら…。